エンゲージメントノウハウ

今なぜ、組織は「定着」を大切にするべきか

採用難だからこそ、定着させる組織にするべき

人手不足が嘆かれる昨今、うまく採用ができないとお悩みの企業様も多いのではないでしょうか?
採用難とは言うもののまず伝えておきたいことがあります。「少子高齢化」「人口減少」といいますが、御社が採りたい人たちは減っているのでしょうか。
働いている人は減っておらず、むしろ増えているのが実情です。総務省は労働力調査(2018年7月分)で、就業者数は2013年1月から67か月連続で増加していると発表しています。
少子化というと、子ども・若者の数がどんどん減っているかのように思えます。
でも、18歳人口はこの10年間、120万人前後でほぼ変わっていません。大学生は60万人台で少しずつ増え、2017年は63万人になりました。

年 18歳人口 大学入学者
2009 121万人 61万人
2010 122万人 62万人
2011 120万人 61万人
2012 119万人 61万人
2013 123万人 61万人
2014 118万人 61万人
2015 120万人 62万人
2016 119万人 62万人
2017 120万人 63万人
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」、文部科学省「文部科学統計要覧」

ですから、採用担当者から「若者・学生が減っているので採れません」と報告を受けたら、社長は「若者・学生は減ってないよ。採れない原因は別にある」と、採用戦略を再考していただきたいのです。確かに採用に力を入れている企業が増えているのは事実ですので、競合が多くなっているのは事実です。
関連して、大卒求人倍率を見てみます。「大卒求人倍率」とは、民間企業への就職を志望する学生1人に対する企業の求人状況を示した数値です。求人総数を求職者で割って算出します。例えば、「2008年3月卒 2.14倍」とは、学生1人に対して企業の求人が2.14社あったということです。
近年の動きを見ると、リーマンショックの影響が2010年3月卒者に出て、倍率が2.14倍から1.62倍に下がりました。さらに東日本大震災の影響から2012年3月卒者は、前年の1.28倍から1.23倍に下がりましたが、翌年には1.27倍と上昇しています。いずれにしても売り手市場です。2019年3月卒は1.88倍。売り手市場傾向は年々強まっています。

大卒求人倍率の推移
2008年3月卒 2.14倍
2009年3月卒 2.14倍
2010年3月卒 1.62倍
2011年3月卒 1.28倍
2012年3月卒 1.23倍
2013年3月卒 1.27倍
2014年3月卒 1.28倍
2015年3月卒 1.61倍
2016年3月卒 1.73倍
2017年3月卒 1.74倍
2018年3月卒 1.78倍
2019年3月卒 1.88倍
リクルートワークス研究所調べ

では、「採用難」から脱するにはどうしたらいいのでしょうか。
結論は、採用も大事だけど、人材の定着に重きを置くべきだということです。確かに時系列では採用→定着の流れですが、私がよくお客様に話すのは定着を考えることが採用を成功させる第一歩だということです。

採用課題と定着課題、どちらを優先させるか

経営者は採用課題と定着課題どちらを優先させるべきか。その結論は、定着課題です。
理由は明確です。採用とは、企業の魅力の掛け算です。弊社では以下のように表記しています(図1)。

企業の魅力にはソフト面とハード面とがあります。
ソフト面の魅力は、働く一人ひとりの意識付けによって、魅力となる要素をいくらでも増やし、それぞれを最大化していくことができます。
また、ハード面の魅力は、給与、労働環境、勤務時間、勤務地、業界など、増やし、高めていくことが重要ではあっても、すぐに明日から変えるというのは難しい要素です。
企業内での魅力が増えるほど求職者の応募が増え、採用活動が成功しやすくなります。
一方、採用活動が失敗しやすい会社というのは、往々にして既存の社員の定着率が低いことが多いです。これらの企業は企業の魅力がソフト面もハード面も欠如しているまたは、どちらかが極端に悪いなど既存の社員にとって離職のリスクが高い状態にあります。
既存の社員が定着せず、しようとも思えない会社に求職者は応募するでしょうか?喜んで入社してくれるでしょうか?そんな環境で採用活動を行っても必ず失敗します。
もちろん完璧な100点の会社はありませんので、どの会社も不足だらけの中で組織を運営していると思いますが、少しずつソフトの魅力とハードの魅力を増やして、採用活動で戦うための土壌づくりとして既存社員が定着する環境を整えていく必要があります。

なぜ定着の定義は存在しないのか

では、定着とはどんな状態を指すのでしょうか。今一度よく考えてみましょう。
そもそも世の中に定着の定義はなく、色々な会社が好き勝手に自分たちの都合の良いようにPRポイントの如くに使っています。
「定着が良い」こととイコールに近い形で使われているのが「離職率が低い」ということです。「離職率が低ければ、定着が良い」、さらには「定着率が高ければよい会社である」。そんな風潮もあります。
その中でもTakeActionでは定着とは、「活躍している人材の離職を防ぐ」ことと定義づけています。「活躍している人材」というのがポイントです。
離職にはネガティブな理由での離職とポジティブな理由での離職とがあり、会社にとって本当に痛手の退職と正直致し方ない退職とがあると思います。
企業成長にコミットしている経営者が目指すべき定着とは、会社に残ってほしかった大事な戦力であり、本当に経営理念やビジョンを理解し、行動してくれていたメンバーの離職を防ぐことが「活躍人材の定着」であり、本当の定着であると言えます。
企業としては、活躍人材が離職してしまうことこそなんとしても避けなければいけません。

定着率が良いことが必ずしもいい会社とはいえない

世の中には「定着率98%!」や「離職率0!」など売りにしている会社が多く、採用の就職サイトやホームページなどでもよくそういった謳い文句を目にします。もちろん全ての人材が会社の理念やビジョンを理解し、自分のやるべき責任や仕事を全うし、その上で定着率が100%ならばそれは最高かもしれません。
しかし企業の成長フェーズによって求める人物像も違ってきます。そこで弊社は次のように考えています。
・企業のステージに応じた資質や能力が既存社員にある
・創業期、成長期のメンバーは、変化する企業のステージに順応が必要
・離職率0が良いわけではない。しかし、活躍している人材が離職する場合は危険信号
・成長している組織において10%から15%くらいの離職はむしろ健全
理念やビジョンに共感したり、仕事内容や人の魅力に共感して入社した人材が、志半ばで会社を離れる(離職してしまう)ことはとても悲しいことです。
企業は活躍する人材を創出し、社員がこの会社にいる理由を創り続ける必要があります。働く社員は活躍に値する成果や功績を残し、ずっと会社に居てほしいと企業が思う活躍人材でいることで、win-winの関係が継続されると思っています。