エンゲージメントノウハウ

エンゲージメントが高まれば離職が減る理由

企業が成長するにあたって、多少の離職は伴います。成長の角度やスピードによっても大きく違いますし、業界業種によっても異なりますが、全体の10%~15%が離職することはむしろ健全だと思っています。当社の定着の定義は「活躍している人材の離職を防ぐ」ことです。離職率が低い=良い会社、エンゲージメントが高い会社とはいえません。もちろん、優秀な人材が離職してしまうことは会社として大きなリスクであり、一人前になろうと本人も頑張り、会社も熱心に育ててきた人材が早期離職することは大きな損害で、そういった事は事前に防止しなくてはなりません。

それを踏まえた上で離職率に関して捉えていただきたいのですが、アメリカの経営・人事コンサルティング会社CEB社が、次のような調査データを発表しています。27ヶ国、10業種の59社、5万人を対象としたもので、エンゲージメントの高い従業員が1年以内に離職する可能性は1.2%、低い従業員は9.2%と、大きな差が見られます。これは、エンゲージメントの低い従業員に何らかの働きかけを行ってそのエンゲージメントを向上させることができれば、離職を87%減らせるということを意味します。

 

人間関係やコミュニケーションが重要といわれる根拠は

【ブルーム、ポーター&ローラーの期待理論】

人はどのような動機で頑張ろうとするのか。ある理論を参考にお話していきたいと思います。それは、心理学を背景に数多くの大企業の経営コンサルタントを務めたブルームが著書『仕事とモチベーション』で1964年に提唱し、さらにポーターとローラーが発展させ1968年に生み出された「期待理論」です。

動機について、どのような報酬が得られるかという「報酬の魅力」と、どれくらいの可能性で報酬を得ることができるかという「報酬を得る可能性」の積で表されると説明しています。自分の努力が結果に結び付き、報酬が得られ、それが自分にとって価値があれば動機付けられる、というものです。そのため、努力しても達成の可能性がない場合、また業績を上げても報酬などに魅力を感じなかったり獲得できなかったりした場合には、モチベーションは生まれてこないか、あっても弱いものとなる、としています。

 

 

【「成功の循環」モデル】

マサチューセッツ工科大学の元教授ダニエル・キム氏は、組織が成功を続けるための「関係の質」→「思考の質」→「行動の質」→「結果の質」→「関係の質」という「成功の循環モデル」を提唱しています。

 

組織がうまくいっている時は、①「関係の質」が高まる→②「思考の質」が高まる→③「行動の質」が高まる→④「結果の質」が高まる、という好循環で回っていきます。そして、この④「結果の質」が良くなると、さらに①「関係の質」が良くなっていく、というものです。

例えば、以下に示したような形で、成功の循環が図られていきます。

①関係の質

↓ 組織内の人たちの関係が良く、お互いに認め合っている

②思考の質

↓ 対話やディスカッションを通して良いアイデアや、助け合う思考が生まれる

③行動の質

↓ 結果として、新たな挑戦やお互いに助け合うという行動が生まれる

④結果の質

↓ 良い行動が生まれることで、売り上げや業績が向上していく

①関係の質

結果が出ることで、さらに組織の関係が良くなっていく

 

もちろん経営層やマネジメント層が最終的に望むのは、成果・業績などの「結果の質」です。

ただ、それを得るまでには必要な循環があります。やはり良い結果を生み出すためには、良いチーム、良いメンバーが主体的に行動する必要があります。社員が主体性のある行動をしていくためには、思考も主体的でなければならない。そして、思考が主体的であるには、意見をオープンに交換できたり、互いに情報を共有できたりする、人的な「関係の質」が非常に重要になってくるということです。